ハウスメーカーなど、悪い営業マンから、縁ある全ての人を救いたい #店長流
あるお客様のストーリー
先日、10年前に家を建てたお客様(仮にSさんとします)と偶然お店でお会いしました。前の職場でのお客様だったので気まずさも感じるかと思いましたが、まるで同級生と久しぶりに会ったように楽しい会話ができました。お互いに家族もいるので短い会話でしたが、その中で言われた一言が心に残っています。
「君のお陰で家が建てられて、今本当に幸せだよ。ありがとうね」
10年前の出来事ですが、未だにそう言ってくれる方がいることに感動し、ちょっと涙を流してしまいました。
さて、そんなSさんですが、私が涙を流した理由があります。
出会いは少し衝撃的でした
私がSさんと出会ったのはちょうど10年前。前職場で住宅営業をしていた頃のことです。お店のOPENに合わせて外の掃除をしていた時に出会いました。路面店で掃除をしていると、道行く人に「おはようございます」と挨拶をしていましたが、その中の一人に驚くべき返答をされました。
「おはようございます」と言うと、その人はいかにも嫌そうな顔で「お宅、住宅営業なんてして恥ずかしくないの?転職した方が良いんじゃない?」
びっくりしましたが、私は「そんなことないですよー、楽しく仕事をさせて頂いております」と返しました。すると、「まあ確かにそんなに嘘ばっかり言っていたら楽しいのかもな、人を騙す商売だもんな」と返されました。
当時の私は少し余裕があったので、「失礼ですが、何か住宅営業と問題があったのですか?良かったら話聞きましょうか?」と答えました。その方も驚いた顔をしていましたが、「お宅、面白いね。これから時間もあるし、ちょっと話を聞いてもらおうかな」と言って展示場に上がってもらい、お話を伺いました。
その方がSさんです。
住宅営業はうそつきの集団だ!
展示場での話は「住宅営業はうそつきの集団だ!」というものでした。Sさんは結婚出産を機に家を建てようと思い、何社かハウスメーカーと話をしていました。Sさんの希望する土地は、相続が絡んだり農地だったり変形している土地だったりと、建築には多くのハードルがありました。
多くのハウスメーカーは「大丈夫、建てられます!」と言い、住宅ローンの審査やプラン作成を進めました。しかし、土地の問題は解決しないまま、ローンやプランが進み、契約もしてしまいました。その後、土地の問題が原因で建築が進まないことが判明し、最終的には契約を破棄することになりました。
営業マンたちは「Sさんの都合での解約だから違約金が発生する」と言い出し、頭にきたSさんは裁判を考えましたが、営業の上司が訪問し、営業マンの嘘が発覚。無条件での解約が認められましたが、それまでの費用は請求されました。
そんな経緯から、住宅営業を毛嫌いするようになったSさんが誕生しました。
あれ?普通に建てられるかも???
そんな問題があってから1年後に私と出会ったSさん。話を4時間くらいしたら、「住宅営業でもこんなやつもいるんだなーはじめっからお宅に会えていたら良かったかもね」と言われました。
私は冗談半分で「その土地を教えてくださいよー、私なら出来るかもしれません」と言うと、「そういうところが営業のダメなところなんだ(笑)、まあ、PCある?話のネタに教えるよ」と言われました。教えてもらった土地は、以前に自社で建てた土地の近くで、ある疑問が出てきました。
「Sさん、ここの土地って50戸連たんで駄目になりませんでしたか?」
「おおよく分かったね、市街化調整区域になるからって50戸連たん求められたんだけれども、どうしても繋がらないんだよ。」
「ですよね。で、多分ですがここ50戸連たん繋がりますよ」
「え?なんで無理でしょうよ、何社も見てもらってけれど無理だったもんは無理でしょ?」
「実は半年前にここに当社で家を建てたんです。この家を利用して、こう繋げれば……」
「本当だ!50戸いけるじゃん!え?これなら家建てられるの?」
「しっかり調べないとですが、多分いけますね」
「おお!凄いじゃん!じゃあ調べてよ!あ、ちなみに費用は……」
「要りません(笑)」
「じゃあお願いするね(大笑)」
ちなみに50戸連たんとは、市街化調整区域内に家を建てる際の制度の一つです。
結果は「合格」
しっかりとした調査を開始し、約1か月後……結果は合格。Sさんの土地で建築が可能であることが分かりました。
Sさんは大喜び。「Sさんおめでとうございます。これでどのハウスメーカーでも家建てられますよ。良かったですね。」と言うと……
「何言ってんの。お宅で建てるに決まっているじゃない!水臭いこと言わないでよ。住宅営業は未だに信用しきれないけれど、お宅は信用できる。これからもよろしくね」
そんな流れで住宅検討が始まり、無事ご契約と着工へ。市街化調整区域での調整や農地での調整も絡み、着工まで半年くらいかかりましたが、出会ってから1年後にはご入居へ。そして10年後に至るわけです。
家を建てることが目的なのか、家を建てることで幸せにすることが目的なのか
今回のSさんのような営業マンは多いと思います。営業マンが悪いのかもしれませんが、会社全体で指示していることもあります。自社で出来るか分からないけれど、それでも他社に行かせるなというルールが多くの会社で営業マン教育として教えています。
本来の目的は、
「家を建てることで幸せになる人を増やすこと」
これが住宅営業の本来の目的です。それを見失うことなく続けることが大切です。
今回は懐かしさもあり、こんな記事を書かせて頂きました。家を建てた人には皆、何かしらの物語があります。今後はそんな物語もお伝えできればと思います。
では、また!